(本エントリーは新潮社から献本をいただいています)
ブロガー献本プログラムに入っておきながらそのことを忘れていて次号がもう届いてしまったのであわててレビュー。
どういうスタイルにしようか考え、ブックマークコメント風なのが簡単だし興味深いだろうという結論に達しました。
8月号の見出しはこちら。
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/200908/main1_2.html
以下敬称略。
・イランはどこへ向かうのか(池内恵)
今号はイラン特集。さきのイラン大統領選挙で、Twitterを中心に日本でもイランの動向がとても注目を集めた。そんな中でも新聞などでのイラン分析は思ったより非常に少なく、この記事を通してイランの情勢に対する基本的な理解が深まったように思う。
・News Probe ロシア官僚の横暴に反発 イケアが事業拡大「凍結」宣言
完全な民主国でない国で事業をやろうとすると直面する問題なのだろう。店舗の許認可に関する不透明性が原因とのこと。
・News Probe 新銀行東京に信金が激怒 新社長はいきなり正念場に?
新銀行東京が失敗だったのは今となっては明らかだが、その実態はまだほとんど検証されていないように思う。誤解を恐れずに言えば、銀行業としては失敗だったけれど、窮地に立っている中小企業の救済という面で何らかの貢献をしたという見方もできる。公共事業などでばらまくよりマシと思ってしまうのは間違っている?
・【人間学としての経済学】第1回 経済学は「人間の心」をどう扱ってきたか(堂目卓生)
楽しみな新連載。ぼくは経済学はミクロ経済学とゲーム理論を中心に学んできて、「個人がどのように意志決定するか」「個人が何かを判断する際の合理性とは何か」といったあたりはとても興味がある。「理論」と「規範」の関係がよく分からなかったが、今後に期待。
・【杜耕次のアクティブ・ソナー経営者発見】No.5 単なる美談ではなかった「派遣千人の正社員化」
経済社会のなかで、「経営」が果たす役割は非常に大きいと思っている。ビジネスモデルとかコーポレートガバナンスといった一部分だけでなく、所有すること/管理することにとどまらない「経営すること」ということが人を幸せにできる可能性をぼくは信じている。いまフォーサイトの中で一番楽しみにしている連載記事だ。
・中国が欲しがる日本の「流通ノウハウ」(五味康平)
中堅家電量販店であるラオックスが中国企業に買収されたことに対する分析。これは長期的にみるととても怖い。こうしたノウハウは長期的に積み上げられてきたものであり、それが買収によって速やかに吸収されてしまうと、日本企業の強みはどんどん失われていくからだ。
・【少子化を止めろ26】片働きから育児分担制へ必要なのは男性の意識改革(渥美由喜)
けっこう長く続いている連載だけど、悔しいかな、心の奥底で反発を覚えてしまう連載。少子化を止めるために、男性の家事分担等が必要なのはぼくも全面的に賛成だ。ぼくだって家事は嫌いではないし、まだ独身だけれど妻となってくれた女性とともに家庭や子供を大事にしていくことの重要性は、仕事より上だと思う。しかしそれでも、仕事をしていくうえで無理なことがたくさんある。例えば記事内にあるように6週間も育児休暇を取ったら、中小企業はつぶれてしまう。逆に、ぼくが6週間会社に居なかったら会社が傾いてしまうくらいの存在で自分はありたい。そんなに休暇を取れるのは、大企業で仕事を代替できる人材があるからだ。数人で回している組織にそれは不可能だ。だったら在宅勤務とか、核家族→拡大家族への優遇とかをすすめてくれたほうがいい。意識改革さえすればいいって言葉面に、どうしても反発を覚えてしまう。きっと間違っているのはぼくのほうなのだろうと論理では分かっているのだけど。
・【集中連載・世界の教育16】「言語政策」なき英語教育と現場の困惑(草生亜紀子)
総選挙が近いけれど、各党のマニフェストで教育を押し出したところは今回も無かった。教育政策が長期的に日本の最重要課題であるのは確実なのに。英語教育についても、さんざん「英語を勉強」するにはした自分が思うのは、(1)すべての人が英語をぺらぺらになる必要はない(2)希望する人には厳しくも手厚い教育を受けられる環境があれば良い、だ。具体的には、留学制度の充実だ。留学にはお金がかかる。ぼくは留学したことが無いのだけを後悔している。もうちょっと無理して行っておけば良かったかなと。多くの人が留学がしやすい環境になることで、英語教育のほとんどは解決するのではないか。
・転機を迎えたフランスの移民政策(杉山文彦)
日本もいつか、移民を積極的に受け入れざるを得ないときが来ると思う。そこでこのフランスの直面している問題は非常に参考になる。日本の文化はいまのフランスよりももっと移民に対して非寛容だろう。「平等を達成するには、持たざる人々に、より多くを与えなければならない」というサルコジ大統領の言葉は重い。
・「消費期限切れ食品市場」が賑わうモスクワの闇(アラステア・ジー)
読んだだけで怖くなる記事。日本も非常に多くの食べ物を廃棄しているが、そうした食品がブラックマーケット化したときに本当の社会不安が訪れるのではないかと。
・急成長「スクリブド」は出版のあり方を変えるか(ルイーズ・ブランソン)
フォーサイトはIT系の記事が少ないが、今回珍しくスクリブドを取り上げた。スクリブドは最近ビジネス化へ向けて準備が整いつつあるが、それと相反するようにトラフィックは低下している。著作権違反のコンテンツを排除したからだ。ぼく自身はスクリブドを使うことはほとんどなく、位置づけの近いサイトでいえばSlideshareのほうが断然よく使う。役に立つコンテンツが多いと思うからだ。
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